ホーム スポーツ 相撲の大銀杏とは?十両以上の格式と歴史・勝負規定のルールを元力士の視点で徹底解説

相撲の大銀杏とは?十両以上の格式と歴史・勝負規定のルールを元力士の視点で徹底解説

天海 凛 天海 凛 • 更新: • 公開: • 読了約 7 分
目次

大相撲の土俵上で力士たちが誇らしげに結う「大銀杏(おおいちょう)」。その美しい髪型は、単なる見た目の装飾ではなく、大銀杏は十両以上の関取だけが結う格式ある相撲の髪型として長年の歴史と厳格な伝統を受け継いできました。一般的なちょんまげとの違いや、伝統を守る床山の技、さらには相撲規則勝負規定第9条に定められた頭髪と勝敗に関する興味深いルールに至るまで、専門資料と元力士の視点を交えて徹底的に解説します。

大銀杏とは?十両以上の関取だけが結う格式ある相撲の髪型

大銀杏相撲

大相撲中継を見ていると、土俵に上がる力士たちの髪型に違いがあることに気づきます。その中でもひときわ目を引くのが、銀杏の葉が広がったような美しいシルエットを持つ「大銀杏」です。デジタル大辞泉などの用語解説でも、武士の髪形から発展し、相撲においては十両以上の力士が結うものと定義されています。

この大銀杏は、誰もが自由に結えるわけではありません。大相撲のピラミッドにおいて、幕下以下の力士は「ちょんまげ(本田髷)」と呼ばれるシンプルな髪型しか結うことが許されていません。十両に昇進して初めて「関取」という身分になり、その証として大銀杏を結う特権が与えられます。つまり、大銀杏は力士にとって単なる髪型以上のものであり、一人前の関取として認められたステータスそのものなのです。

ちょんまげとの決定的な違いと床山の職人技

幕下以下の力士が結う「ちょんまげ」と、関取の「大銀杏」には、形状や結い方に明確な違いがあります。ちょんまげは日常の稽古や生活でも扱いやすいようにコンパクトにまとめられていますが、大銀杏は髷の先をイチョウの葉の形に見事に広げ、び付油(びつけあぶら)を使って丹念に整えられます。

この美しい大銀杏を作り上げているのが、相撲界を裏から支える職人である「床山(とこやま)」たちです。床山は数年の厳しい修業を経て、力士の髪質や頭の形に合わせて完璧な大銀杏を結い上げる技術を身につけます。報道各社の取材や元力士の証言によると、大銀杏は単なる飾りではなく、激しいぶつかり合いや投げの打ち合いから力士の頭部を守る「機能美」としての役割も持っているとされています。

区分・項目 ちょんまげ(本田髷) 大銀杏
対象階級 幕下以下(序ノ口、序二段、三段目、幕下) 十両、幕内、三役、大関、横綱(関取以上)
形状・特徴 コンパクトにまとめたシンプルな髷 髷の先をイチョウの葉の形に大きく広げた形
結い手の存在 床山によって整えられる 専属の床山が高度な技術で丹念に結い上げる
象徴・意味 修行僧のような実用的な髪型 関取としての格式、誇り、一人前の証

歴史的由来と土俵のドラマ:引退相撲で告げる別れ

大銀杏の歴史は古く、武士の社会で結ばれていた髪型が相撲界に定着したことに由来します。江戸時代から続く大相撲の伝統の中で、力士の身体装飾として洗練されてきました。土俵の上で華やかに輝く大銀杏は、勝負の厳しさだけでなく、日本古来の文化の美しさを今に伝えています。

そして、力士のキャリアにおいて大銀杏が最もドラマチックにクローズアップされるのが、現役引退の時です。田口が稀勢の里の引退相撲を伝えた記事などでも、師匠や関係者がはさみを入れて「ここで大銀杏に別れをつげた」という感動的な場面が描かれています。本場所を沸かせた力士が、多くのファンが見守る中、大銀杏を切り落とす「断髪式(とめばさみ)」は、相撲ファンにとっても特別な瞬間として語り継がれています。

相撲規則勝負規定第9条:頭髪と勝敗にまつわる興味深いルール

大銀杏は見た目の美しさやステータスだけでなく、実際の勝負の行方をも左右する重要な要素です。日本相撲協会の相撲規則勝負規定には、頭髪に関する細かな取り決めが存在します。

相撲規則勝負規定第9条では、1955年の同規定制定以来、「頭髪が砂についた時は負けである。しかし、相手を倒しながら、瞬時早く髪がついた時は負にならない」と明確に定められています。つまり、激しい投げの打ち合いになった際、土俵の砂に大銀杏が触れてしまった方が負けとなりますが、ギリギリまで体勢をこらえて相手を先に倒した場合は、ほんのわずかなタイミングの差で負けにならないという規定です。このルールがあるため、力士たちは土俵際での攻防において、自分の大銀杏が砂につかないよう驚異的なバランス感覚を発揮しています。

【大銀杏相撲】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:大銀杏はどの階級から結うことができますか?
A1:十両以上に昇進した「関取」と呼ばれる力士だけが結うことを許されています。幕下以下の力士はちょんまげ(本田髷)を結います。

Q2:取組中に大銀杏が崩れてしまった場合はどうなりますか?
A2:激しい相撲の中で大銀杏が大きく乱れたり崩れたりすることはありますが、それだけで直ちに反則負けになるわけではありません。ただし、頭髪が直接土俵の砂についた場合は勝敗の判定に関わることがあります。

Q3:大銀杏を結う髪型はどのように維持されていますか?
A3:専属の床山がび付油を使用して毎日丁寧に結い上げています。力士にとって大銀杏は誇りであり、その手入れには細心の注意が払われています。

大銀杏は、十両以上の関取だけが身に纏うことのできる格式高い髪型であり、大相撲の長い歴史と伝統の象徴です。ちょんまげとの違いや床山の卓越した職人技、そして相撲規則勝負規定第9条に定められた頭髪と勝敗に関するルールを知ることで、テレビや現地で見る取組の奥行きは一層深まります。土俵の熱気の中で繰り広げられる技の応酬だけでなく、力士たちの誇りである大銀杏の細かなディテールにも注目してみると、大相撲観戦の楽しみ方がさらに広がっていくはずです。

同じカテゴリの記事

天海 凛
トレンドリサーチャー 天海 凛
プロフィールを見る →

美容・ファッション領域のライター。ブランドの公式発表、商品の成分表示、取材先の一次コメントをもとに構成し、体験談と公開情報を区別して記載します。

おすすめの関連記事